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コラム「成功転職2010」第7回
2009年1月22日
人間力経営総合研究所 所長 二瓶正之

即戦力とは即応力

今回は「即戦力」について 取り上げたいと思います。企業が新卒採用ではなく中途採用に踏み切る時に、 しばしば語られるのが「即戦力」という言葉です。そして、そこには、たいがい 「業界経験者」という言葉がワンセットで付いてきます。もし、この考え方が普遍的 な大原則だとすると、転職希望者は転職前の企業が属する業界以外には転職ができない ことになってしまいます。そんなおかしな話はありません。

即戦力を期待すると は言っても、多くの企業は教育期間あるいは準備期間としての助走時期を必ず設 けるものです。転職を考えている方は、この「即戦力」という言葉に、過度に神経質 にならないことです。あなたに満々たるやる気があれば、その助走期間で基礎的なこと をマスターして、十分に即戦力として会社に貢献できます。どのような業界でも、基礎 的な学習は3か月もあれば十分マスターできます。要は、本人の意欲次第です。

むしろ、あらゆる業界で、今、 活躍をしている人たちは、現在の活躍場所とは異なる業種の出身である場合が極めて多い のです。その一番の理由は、変化のスピード化です。現在のあらゆる分野での変化のスピー ド化が、既存の技術や知識の陳腐化を早め、常に知識・スキル・経験のアップデートが求め られる時代を生んだことです。これまで通用したやり方や考え方ではやれなくなるという事 態が、あらゆる業界で起きています。そのような変化対応が常態化する時代には、むしろ全 く違う視点からアプローチできる異業種の経験者ないしは柔軟な発想の持ち主が求められるのです。

そのため、即戦力を 求めると言いながらも、そのような既存の発想や既存の方法から飛び出して、 柔軟な思考ができる人材を多くの企業が求め始めています。この一点から、逆算して、 これまでのキャリアを生かすシナリオを志望動機として描くことです。あなたが新たな業界に チャレンジしたいなら、その業界の人たちが持ちえない経験や知識・スキルを、あなたが どう身につけ、どうそれに磨きをかけてきたのかを語り、その経験・知識を新たな業界で どう生かせるかを魅力的な物語に仕立てあげることです。

つまり、今、求められる 「即戦力」とは、業界経験が豊富なことではなく、あらゆる変化に柔軟に対応できる 「即応力」のことであると理解すべきでしょう。そして、そのような人材を中途採用・新卒 採用問わず、数多くそろえようと努力する企業だけが、この変化のスピードの激しい時代を 生き残れるのだと思います。従って、ことさら、即戦力や業界経験を強調する企業は、逆に、 あなたの方が慎重に判断すべき企業かもしれません。

今回のコラムについてご意見・ご感想をお寄せください。ではまた。

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著者プロフィール
人間力経営総合研究所 所長 二瓶正之
二瓶正之(にへい まさゆき)
1953年生まれ。新潟県出身。明治大学大学院経営学研究科博士課程修了後、短大講師を経て、日本能率協会でエネルギー 関連企業の組織診断調査とコンサルティングに携わった後、研修プログラム開発と雑誌『人材教育』創刊に関わる。その後、 ㈱日経リサーチに転じ、組織診断調査およびコンサルティングに従事。1997年に大手アミューズメント企業にスカウトされ、 能力開発担当マネジャー・営業部長代行・採用担当マネジャー・関連会社教育事業部長を歴任した後、 2007年㈱新東通信のシンクタンク部門として人間力経営総合研究所が設立されると共に、所長に就任。 著書に『経営戦略の実現と戦略マインドの醸成』(日本能率協会)、『経営行動科学辞典』(創成社)、『賢者180名命の言葉』(徳間書店)がある。
人間力経営総合研究所
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