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コラム「成功転職2010」第8回
2009年2月5日
人間力経営総合研究所 所長 二瓶正之

「天職」とは

今回は「天職」について 取り上げたいと思います。天職とは、文字通り「天から与えられた職業」あるいは 「その人の天性にあった職業」という意味で、誰もが、できることなら「天職」と 言える仕事に就きたいと思います。とりわけて転職を希望する人たちの動機には、 今の仕事はとても天職と言えるものではないので、もっと天職と言えるような仕事 に就きたいという思いがあるのが一般的な傾向です。これは、ある意味とても自然 な感情だと言えます。どうせなら、天職と言える自身にぴったりな仕事に就いて、自 己実現をはかりたいと誰もが思います。また、そんな転職希望者の思いを受けて、「 転職」は「天職」に通じるというようなゴロ合わせに掛けた「タイトル」の本もたくさん出ています。

しかし、転職をして、すぐに 「天職」と言える仕事に就ける人は、むしろ稀で、多くの人たちは、転職後も迷いな がら悩みながら新しい仕事を続けるケースがほとんどです。だからと言って、決して、 皆さんの気持ちを暗くしようとしているわけではありません。現実を直視して欲しいの です。以前、上場企業の部課長3000人にアンケート調査を実施して、「現在のあ なたの仕事はあなたにとって天職と言えますか」という質問をしたことがあります。 その時、「天職と言える」と答えた人は、7パーセントに過ぎませんでした。そして 、「現在の仕事に満足していますか」という質問には、7パーセントの「天職と言える 」と答えた人も、「天職とは言えない」と答えた93パーセントの人も、まったく同じ 満足度の水準でした。これが現実なのです。「天職」とは、転職してすぐに手に入るも のではなく、いろいろな仕事を経て、いろいろな経験を積んで、あぶり出しのように、 徐々に見えてくるものなのです。あるいは、定年退職後に、振り返った時に、あれが天 職だったのかもしれない、と気づくものなのです。

ですから、いきなり「天職」に就く ことを目指して「転職」を考えるよりは、今、あなたがやりたいと思っていること、 あなたのこれまでのキャリアでできること、あなたがもっとも生きがいを感じること 、の三つが重なり合う場所を広げることと深めることを心がけながら、「転職」を考 えていくことが、長い目で見ると、結果として、天職に近づくことになるでしょう。 人生は、アバウトに考えた方が良いようです。その理由は、人生はひとりの力・努力だ けではどうにもならない要素がたくさんあるからです。その一つが「人との出会い」で す。天職と言える仕事につけた人は、たいてい多くの「人との出会い」が、結果として 、今の仕事への道を開いてくれたと語ります。それを一番象徴するのは、日経新聞の「 私の履歴書」に登場する人たちの発言です。彼らは、一様に、「人との出会い」によっ て今があると語ります。決して、最初から今のポジションを目指していたわけではない のです。そして、もう一つ彼らに共通するのは、「今」を真剣に生き続けた人たちだと 言うことです。中村天風という人がこう言っています。「さしあたる事柄のみをただ思 え、過去は及ばず、未来は知れず」この言葉の意味を深くかみしめたいものです。

今回のコラムについてご意見・ご感想をお寄せください。ではまた。

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著者プロフィール
人間力経営総合研究所 所長 二瓶正之
二瓶正之(にへい まさゆき)
1953年生まれ。新潟県出身。明治大学大学院経営学研究科博士課程修了後、短大講師を経て、日本能率協会でエネルギー 関連企業の組織診断調査とコンサルティングに携わった後、研修プログラム開発と雑誌『人材教育』創刊に関わる。その後、 ㈱日経リサーチに転じ、組織診断調査およびコンサルティングに従事。1997年に大手アミューズメント企業にスカウトされ、 能力開発担当マネジャー・営業部長代行・採用担当マネジャー・関連会社教育事業部長を歴任した後、 2007年㈱新東通信のシンクタンク部門として人間力経営総合研究所が設立されると共に、所長に就任。 著書に『経営戦略の実現と戦略マインドの醸成』(日本能率協会)、『経営行動科学辞典』(創成社)、『賢者180名命の言葉』(徳間書店)がある。
人間力経営総合研究所
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