しくじらないための就活

企業は芯のある採用活動がさらに問われる

高田 晃一2018年09月12日10時00分

経団連の中西宏明会長が、現行の就活ルールを2021年卒にて廃止する考えを発表しました。

これが大きな反響を呼んでいます。

まだ発言の段階のため、実現するのかどうかはわかりません。

しかし、実現したと仮定して、2021年卒採用は何が起こるのか、ということを過去の事例から紐解いて検討してみます。

今回は「企業に対して、何が起こるのか?」ということです。

現行の3月1日広報開始、6月1日面接開始、10月1日内定、というルールがなくなるため、「いつでも選考、いつでも内定、いつでも入社」がOKになります。

ここで「いつでも入社」は、3月31日卒業は絶対に崩れないため、除外します。(アルバイトとして在学中に入社させるのでは、という噂もありますが、除外します)

よって、「いつでも選考、いつでも内定」になるわけです。

理論的には、1年生から選考が始まり、2年生になる前に内定を獲得できてしまいます。

ここで問題が発生します。「1年生のうちに得られた内定は入社を100%確約できるものか?」ということです。

こんな話しがありました。

私は大学に入るために2浪をし、さらには大学院にも進学しました。

このため、現役で大学に入り、学部卒で就職した方に比べて、4年遅れて就活をしました。

ここでの話しは、私と同年代で現役で大学に入り、学部卒で就職した方です。

この方々はその前年に就活ルールが全廃され、就活自由化の真っ只中だったのです。

就活自由化でいろいろあったのですが、「いつでも選考、いつでも内定」の話しに特化しますと、学部1年生で本当に某ITの有名企業から内定を獲得された方がいたのです。

「俺はもう大丈夫」と豪語し、リア充な大学生活を送っていました。

しかし、学部4年生になってこの方は疑問が生じます。

「この会社で本当にOKなのか」

この疑問から不安に苛まれ、また就職活動を始めちゃったのです。

すでに競争倍率の高い有名企業から内定を獲得していることと、そこから生まれた自信から実現したリア充な大学生活が相俟ってなんと、某総合商社から内定を獲得し、そのまま入社してしまいました。

学部1年生のときに内定を与えた某IT有名企業からしたら、これまでにかけた工数と費用を考えると、たまったものではありません。

就活ルール廃止は絶対に早期化を呼びます。

よって、こういったことが絶対に起きます。学部1年生とまではいかなくとも、学部3年生の12月くらいの早期に内定を与えてしまったら、確実に卒業(修了)後の4月1日に確実に入社していただけるよう、何かしらの施策を行う必要があります。

しかし、採用活動を早期に行うのは、採用意欲が高すぎる企業です。

採用意欲が高すぎて暴走してしまい、学部1年生に内定を与えてしまう事態が起ったのです。

現在の新卒採用の方法は、私が現役のときより多種多様になっており、就活生の志向も多種多様になっています。

よって、2021年卒の新卒採用をする企業は、「ウチは具体的にどんな学生が欲しいのか」ということを、より明確にすることが問われます。

世間のトレンドに流されない芯のある採用活動が、就活ルールの廃止に伴い、より強く問われるようになります。

これは確実です。