合説どっとこむ編集長コラム「就職力は面接力」

トンカツ定食より本

兵頭 秀一2020年04月05日12時09分

社会人に読書は必須なのでしょうか、有効なのでしょうか。その答えは将来どのような仕事をしたいかによるでしょう。

上場企業のスーパーマーケットチェーンの社員でそれなりに出世欲のあった若いころの私はある時こう考えました。60歳になると定年退職で会社を去っていく人もいれば、一方では経営の中枢となり、より高い給与で会社の中心となって一層活躍される人もいる。定年退職という制度の建前は体力の衰え。一方、経営の中枢を担う人たちの仕事は武装した理論で戦略頭脳を発揮している。その証拠に経営陣の仕事は会議、商談、打ち合わせが中心。

そこに必要なことは筋力ではなく理論武装だと気が付きました。理論を武装するために有効なことはやはり読書です。手元に1000円があればそのお金の使い道は「トンカツ定食」ではなく「本」だと。そこからの私は読書に対する時間と費用の投資は会社の若手の中でもTOPクラスだったと思います。

その若いころの読書で培った理論武装で35歳からの3度のキャリア転職を生き抜いてきました。そして40歳代に入ってからの起業、会社経営、セミナー講師という仕事に大いに役立つとともに著書の出版も実現しました。

でも私は偏差値上位校の出身ではありません。とくに高校時代と大学時代は本当に勉強をしませんでした。授業もだいぶさぼりました。よく卒業できたなというのが実感です。実質の学歴は中卒だと思っています。

学校卒業時の学歴の有利不利はその後の読書で簡単にひっくり返ってしまいます。中学から大学は10年間ですが社会人人生はその何倍も長いからです。

おすすめの本などありません。読書は大量でなければいけません。本はどんどん買ってください。ジャンルもいろいろで。理論武装が仕上がってくる目安は300冊です。週に1冊読めば6年で到達できます。週に2冊読めば3年です。それは難しくありません。慣れれば読書の速度もおのずとアップします。

ただし300冊しか買わないと身になる300冊を得ることはできません。ちょっと読んで興味の持てなかった本はやめて次の本を読みましょう。このようにロスは必ずあります。1000冊買って始めて良書300冊に出会うことができると考えてください。

仮に1000冊を全部新刊で買った場合の総費用は100万円くらいです。中古車1台の値段ですから不可能ではありません。読書で自己破産した人はいません。その100万円は間違いなく1億円になって返ってくるでしょう。